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和太鼓のミニチュアの作り方 その6(終)

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 この記事は?  和太鼓のミニチュア、前回までに大きな「胴」「面」が完成したので、のこりのこまかな部品を作って和太鼓に仕上げていきます。 和太鼓の「かん」  「かん」は和太鼓を運ぶ際の持ち手になる部分。  本物の和太鼓の写真から時間的・技術的になんとか作れそうなものをピックアップし、それを参考に方眼紙で型紙を作り、おなじみタミヤプラバンの0.5mmを切り出しました。  ここはあまり目立つ部品ではないのですが、表面に硬化が遅い接着剤を塗ってその上からプラのヤスリカスを適当に振りかけて適当に払ってして、いちおう鋳造表現らしく仕上げ。  「菊座」と呼ばれる金色部分は、円形に固めたエポキシパテを削るなどして最後にシタデルカラーのゴールドでつや消し仕上げ。銀の輪っかだけは通販でちょうどいい大きさのものを取り寄せました。 和太鼓の台座  説明不要の和太鼓が乗る台座。  「面」をはめた「胴」の実寸にそって太鼓が乗るカーブを定め、ホームセンターで売っている工作用の木材を切ったり貼ったり。切断は電動糸ノコを使用したものの、梅雨のあいだとはいえさすがに屋内では使いにくかった。ボール盤がほしいところ。  切断した断面の研磨はあまりがんばりすぎず最小限に。あまり見えないところなので。  写真にはありませんが、このあと2枚の木材の間に角棒型の木を4本渡しています。 太鼓鋲(たいこびょう)  「面」を「胴」に固定するための鋲。  本物の太鼓鋲は入手ルートが限られるうえ、ミニチュアサイズのものは用意されていないので、いろいろ調べた結果、あみぐるみの目に使う「さし目ボタン」なるものがサイズも豊富でまとめ買いもできるとのことで、えいやっと100個単位で注文。ピンバイスで穴をあけては木工用ボンドを流し込み、さし目を突き刺す、というのを何百回か繰り返しました。    なお、さし目の一部は塗装して、前述の「かん」を固定する金具としても使いました。 座布団  太鼓を台座に乗せる際、打ち鳴らす衝撃で太鼓にキズがつかないようにするための緩衝材がわり。  エポキシパテでおおまかな形をつくり、木工用ボンドをといた水をしめらせたティッシュペーパーでくるんで布製の座布団らしさを演出。両端×両面で四角い座布団を4枚、台座の真ん中に敷く長座布団を2枚作りました。 和太鼓のミニチュア、完成  今回は「プラモデルといっしょに飾

和太鼓のミニチュアの作り方 その5

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 この記事は?  引き続き和太鼓の「面」を作ります。今回は成功例です。 和太鼓の「面」、ミニチュアではどう作るか(take.2)  前回は本物の作り方に寄り過ぎた感があるので、今回は見栄え重視でとにかく「ちゃんと和太鼓に見える形状づくり」を優先させました。    まず、前回心が折れた「耳」作りから。  模型用のエポキシパテを練って薄く伸ばし、15分ほど待ってから切れ目を入れ、剥離剤がわりの白色ワセリンを塗ったあと、3mmプラ棒を差し込みました。  「耳」の数は特に決まりがないようなので、かといって思いつきのこの作り方が一発成功の保証もないので、ちょっと多めに作っておきます。  硬化後、中性洗剤でワセリンを落とすようよく洗います。  部品の状態の写真がなかったのでいきなり半完成写真から。  「面」の表面は1.0mm厚のタミヤプラバン。確実に平面が出せるため。  側面は「耳」に使ったものとおなじエポキシパテを接着剤代わりにプラバンの周りに配置し、耳と耳のあいだもまたエポキシパテを盛って伸ばす。以上の工程は現物合わせで先に作った「胴」に乗せた状態でおこなうので、パテ硬化後はがれやすいように、クッキングペーパーをマスキングテープで貼って保護しています。  あとはパテの硬化を待つ、ヤスリがけでなるべく自然な平面にする、凹みは各種パテや接着剤などで埋める、硬化を待つ、ヤスリをかける・・・の繰り返し。  パテはエポキシパテのほか、以前の記事で使った木部補修用パテや、瞬間カラーパテや黒い瞬着にベビーパウダーを混ぜて硬化速度を早くしたものなど、面積や目的に応じて4~5種類ぐらい使ったかな。このへんは自分の所持してるものや予算と相談して。  できあがったものがこちら。サーフェイサーと下地にシタデルカラースプレーのレイスボーンを吹くとこまかいキズはわりとわからなくなりました。  なお上の「耳」製造写真からこの「面」がひとつ完成するまで20日かかってます。20日間ずっとヤスリがけと穴埋めの繰り返し。がんばりました。  このあと2枚目の「面」も同じようにヤスリがけ・穴埋め・サフ吹き・塗装をして、ようやく和太鼓の大部分が見えてきました。 おわりに  特に気をつけて写真を残すようにしていた工程はこの「胴」と「面」の2つだったので、次回はほかに残っている写真からほかの部分の作り方を文章で解説して終

和太鼓のミニチュアの作り方 その4

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 この記事は?  前回までで太鼓の「胴」が完成したので、叩いて音を出す「面」を作ります。  先にことわっておきますが、今回のは失敗例です。 実際の和太鼓の「面」はどう作る?  牛の皮を水に漬け込んだりやすったり伸ばしたりして、強度と伸縮性をあわせもつ「面」を作るそうです。 ミニチュアの和太鼓の「面」はどう作る?  まず牛の皮の入手経路がよくわからないのと、水に漬け込む等の製法は付け焼き刃では真似できないと思い、本物と同じ作り方は除外。  ただその作り方が求めている「強度と伸縮性」を得られる代用品をと考え、セメダインの「エポキシパテ プラ用」が硬化後も柔軟性があるとの評判を聞き、これを百均で買ってきた麺棒で薄く広く伸ばせばいいんじゃないかという仮説。    実際にやってみたところ、まず「エポキシパテ プラ用」を1包装いちどに練るのがかなりの力仕事で、指が折れるかと思った。次にA4クリアファイルの短辺を切って広げたものを敷物に、硬化後のパテがはがれるように白色ワセリンを塗り拡げた上でパテを麺棒で押し広げるのだけれど、これも予想以上に力がいるもので、翌日二の腕が筋肉痛になった。  ともあれへこみだらけながらもなんとか円状に伸ばして硬化したものの、まもなくつぎのハードルが待ち構えていた。  太鼓の「耳」である。 実際の和太鼓の「耳」はどう作る?  和太鼓の「耳」とは、「面」の側面にたくさんくっついてる円筒状の穴のこと。  この穴に棒を差し込み、棒の両端に縄をつないで専用の器具で「面」をピンと張っていく、「面」張りになくてはならない部位。 ミニチュアの和太鼓の「耳」はどう作る?  ミニチュアゆえいい音が鳴るようピンと張る必要はないので、「耳」は機能よりその形が確保できさえすればよいと考え、けれど本物の太鼓作り動画を見ていると、なんか「面」に適当にスッスッとナイフを入れて簡単に棒を差していってるので、理屈はわからんけど円状の「面」に切れ込みいれて棒を挿せば太鼓っぽくなる、らしい!と謎の確信を持ち、いざや実践。  まず適当に切れ込みを入れたため棒が等間隔に並ばず1アウト。  次に棒を挿した端からパテの薄い部分が裂けていって2アウト。  ダメ押しに太鼓のフチになる部分のパテが厚くてどうにも曲がってくれそうになくて3アウト。  もう1度最初からこのパテを練って広げてする体力は残ってい

和太鼓のミニチュアの作り方 その3

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 この記事は?  パテなどで太鼓の胴を作ったので、本来の木製に近づけるよう木目風に塗装していきます。 太鼓の胴の塗装、ミニチュアではどう塗るか  今回の項は作業中の写真がほとんど残っていないので、文章による説明がメインです。  いきなり塗装完了後の写真を見せると、こうなりました。  手順としては ウレタンニスを塗って下地塗装と表面保護 ブラウン系の水性塗料と筆で木目を描いていく(1色目) 400・600番の紙やすりで水性塗料の塗膜を浅く削る ブラウン系の水性塗料と筆で木目を描いていく(2色目) 400・600番の紙やすりで水性塗料の塗膜を浅く削る 黒の水性塗料と筆で木目を描いていく 400・600番の紙やすりで水性塗料の塗膜を浅く削る 水性塗料のクリアーオレンジにブルーを混ぜたものをムラになるくらい塗る で完成としましたが、部分部分では先人の知恵を借りましたが、この順番は自己流というか自分の都合によるものなので、もっといい方法があると思います。ともあれこの手順を踏んだら写真のような見た目になったので、自分の中では合格としました。  順に方法と理由を解説します。 1.ウレタンニスを塗って下地塗装と表面保護  強度をもたせるために新聞紙の上にパテを塗り込んだので、そのパテの層をさらに強化するために、ふつうのニスより強い保護膜を形成するウレタンニスを塗ります。  本来なら着色したあとの仕上げとして塗るのですが、早い段階で仕上げは水性クリアーをエアブラシで塗ることが決まっていたので、この段階でパテ層を保護するために塗りました。  前回の記事でも使ったひび割れの写真。  色が薄いほうが今回つかったウレタンニスの色です。  思ったよりパテの色が透けたのと、選んだニスの色が想像より赤かったので、この段階で「本当にツヤテカの木目塗装になるのか?」とハラハラしてます。  「着色ウレタンニスの色選びは慎重に」「水性ウレタンニスは隠蔽力がそんなに強くない」あたりが、この工程の反省でしょうか。 なんとかなると信じて次へ進みます。 2~7.水性塗料と筆で木目を描いていく と ヤスリがけ を繰り返す  調べたかぎり、木目はエナメル塗料で描く方法が多いようですが、じぶんが使い慣れてかつ手持ちに色が豊富にある水性塗料、シタデルカラーで塗ることにしました。  前の項で使った↑の写真が1色目。太鼓の画

和太鼓のミニチュアの作り方 その2

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 この記事は?  和太鼓のミニチュアの続きです。こまかい前フリは「その1」を参照のこと。  前回は太鼓の「胴」の中身ができたので、外側を作っていこうと思います。 ミニチュアの太鼓の胴の外側はどう作るか  前回参考にした動画では、ボンドが乾いた新聞紙の上に漆を塗っていましたが、自分が肌が弱く漆塗りに不安があったのと、置物とはいえある程度の強度を確保したかったので、半液状のパテを塗り重ねて強度と厚みを増すことにしました。  まず下準備として、新聞紙を重ね貼りする段階で、空気が入ったりしてちょっと無視できないほど大きなくぼみができた部分に、セメダインの「木部用エポキシパテ」を盛って段差をなくします。  このあと別のパテを厚盛りすると隠れてしまうので、硬化後に削ったりしなくていいです。  続いてセメダインの「木部補修用木工パテA」を、付属のヘラを使いまんべんなく塗っていきます。このパテは模型用ラッカーパテのような半液状でありながら、乾燥時間がとても早く、匂いも少ないといういいことづくめな評判を聞き、なおかつ「木部補修用」というくらいだから硬化後は水性塗料で塗装できるだろうという目論見で選びました。  ようやく丸太をくりぬいた胴のような風格が出てきました。  参考までに、直径・奥行きとも約20cmの胴にパテを2回重ね塗りするのに、同パテ120ml入のチューブを1と1/4本程度消費しました。通販サイトのレビューによると、いちど開封するとフタを閉めていても時間とともにチューブ内で固まっていくという話もあるので、なるべく一回の工作で使い切れる量を買ってくるのがいいようです。  このあと木工用の小刀で目立つ突起を荒削りし、DIY用の電動サンダーでやすりがけし、水性ウレタンニスを塗り、あとは木目風塗装をして胴の完成。。。といきたかったのですが。  ウレタンニス、木目風塗装(途中)まで進んだところで、ちょっと無視できないひび割れを4,5箇所発見。  木部補修用パテについてのレビューやブログを調べてみたところ、半液状ゆえに乾燥する際にパテから抜けた水分を下地が吸い込むことにより収縮、割れが生じることがある、というのが有力な原因説。パテの下は新聞紙なので、そりゃあ水分を吸うでしょうとも。  見て見ぬふりして塗装まで進んだのにと思いながらも、ここで一旦修正作業に入ります。  まずナイフでひび割

和太鼓のミニチュアの作り方 その1

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 この記事は?  3月の下旬から6月上旬までの約3ヶ月弱、プラモデルといっしょに飾るための和太鼓のミニチュアを作ってました。  ちゃんとした既製品はお高いし、なにより自分好みのサイズがないもので、「いい音が鳴る必要がない、外見だけを似せたレプリカ、ミニチュアならなんとか作れるだろう」という軽い気持ちで始めましたが、結果として時間も材料費もけっこうかかりました。  自分が調べたかぎり、ネットで「和太鼓 レプリカ 自作」などで検索しても、ゼロから完成まで作り方を教えてくれるページは見つからなかったので、記憶が濃いうちに備忘録として残そうと思います。  先に完成形をお見せすると、こういったものが出来ました。 「その1」って?  和太鼓はたくさんの部位から構成されています。  部品単位では代用できる既製品はなるべく使いましたが、比較的大掛かりなものでは 胴(太鼓の側面) 面(叩いて音を出す部分) はそれぞれ単独の項目で記事が書けるほどの工程を経て制作しています。  そのためひとつの和太鼓を作った工程を以下の全6回に分けてつづりました。 その1(この記事) 胴の中身 その2 胴の外装 その3 胴の木目風塗装 その4 面を作るにあたっての試行錯誤 その5 面の制作 その6 かん、台座など、こまごましたもの制作 前置きが長くなってきたので、そろそろ始めましょう。 「胴の中身」実物の太鼓ではどう作るか  どの項も基本的に「実物の太鼓ではどう作るか」「ミニチュアでは(筆者は)どう作ったか」の順に話を進めていきます。  和太鼓の胴は、何十年と生きた太い木の中身をくりぬいて作ります。  Youtubeで「和太鼓 作り方」で検索すると、巨大な丸太を巨大なチェーンソーで切削していく動画がいくつも出てきて、迫力があります。 「胴の中身」ミニチュアはどう作るか  今回作りたいのは直径20cm程度の太鼓なので、それくらいの大きさの丸太ならがんばれば手に入りそうではありますが、チェーンソーで中身をくり抜くノウハウもチェーンソー自体もないので、実物と同じ方法は無理と判断。  結局、先人の知恵を借りようと、Youtubeで検索して新聞紙をもとに和太鼓を制作する動画を見つけました。 (shinobuesky【お囃子】さんの 「 【太鼓】新聞紙とデスクマットで和太鼓を作る!少し演奏します」 )  円形の芯(